MR営業が確実に結果を出す方法

今回は、MR営業の方から「営業お悩み相談室」に頂いた「営業相談」にお答えしようと思います。

と、その前に・・・

おそらく「MR」という言葉を聞いたことがない人も多いと思いますので、MRという仕事について少し捕捉しておきます。

MRとは?

医薬情報担当者(いやくじょうほうたんとうしゃ、英: medical representative、MR)とは、

医薬品の適正使用のため医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者のことを指す。

(参照:Wikipedia)

とありますが、簡単に言えば「製薬・医療メーカーの営業さん」です。

一般的に言えば、基本的に「ルート営業」になります。

ただ、製薬・医療界の営業というのは、普通の営業とはちょっと違う。

私もこの最塾を始めるまでは、全く知らなかったことなのですが、この業界は「営業(MR)」と「先生や薬剤師」との間に「卸売会社」という業者の営業さんが間に入る特殊な業界で、薬品医療メーカーの営業MRが、先生や薬剤師に直接的な価格交渉や販売行為は出来ない。

MR営業が出来ることは、あくまで

【自社の医薬品の「情報提供・収集」と「普及・拡大」】

だけ。

にも関わらず、普通の営業と同じように、営業ノルマや目標数値はちゃんとある。

つまり、自分自身で直接価格交渉や販売は出来ないけど、営業ノルマや数値目標はあるわけです。

それでいて、相手はなかなかプライドの高い一癖も二癖もあるお医者さんや薬剤師さんだったりする中で、接待はゴルフを含めてすべて禁止というような、何かと規制の多い世界。

まあ、例えて言うなら、

手足を縛られた状態で「泳げ!」と言われているようなもので、ここに、この業界ならではの、なかなかの難しさがあるんです。

今回の営業相談は、このような業界で営業(MR)をやっている方からの相談です。

相談内容

まほさん
【ペンネーム】:まほ
【性別】:女性
【年齢】:20代

初めまして。私は製薬の営業(MR)の4年目です。

結果を出すことが出来ず悩んでおります。

今までは平均以上の成績を出してきたこともありますが、これといった成功体験というのがありません。

全社の中でもトップクラスの成績を出している同期が何人もいるなかどんどん結果が出せなくなっている事に、

焦りと指導して下さっている先輩や上司に申し訳なく思っております。

最近では得意先に会うのが怖いです。

辞めることは簡単ですが折角縁あって採用してもらった会社に少しでも結果を出して貢献したいのでご指導よろしくお願い致します。

回答

冒頭でお話ししたように、この業界は少し特殊な業界ですから、なかなか大変な営業だと思います。

そこで、今回は、まず、

私の回答の前に、あなたと同じMRとして「何年も実績を上げている方」の率直な意見をうかがってみたいと思います。

私が主催している「最塾のゴールド会員」という塾生さんの中にも、MRの塾生さんが何人もいますが、その中でも「最塾・VIP会員」という最高クラスの塾生さんとして、もう何年も最塾で学んでいらっしゃる現役MRの方がいらっしゃいます。

この方は、これまで、某製薬メーカーのMRとして、日本一の実績を各品目別で何種類も上げ続け、転勤などがあるにも関わらず、毎年、変わることなくコンスタントにトップクラスの成果を上げ続けている優秀な現役の営業(MR)ですが、

今回は、あなたの相談内容をこの方にも見てもらい、実績を上げ続けている「トップクラスのMR」として率直な意見を頂きましたので、まずは、そちらをご覧ください。

MR営業として実績を上げ続けている最塾・塾生さんからのアドバイス
花鳥風月 先生

【ペンネーム】:花鳥風月(最塾・VIP会員)

MRの先輩としてアドバイスさせて頂きます。

まずMR4年目の実力差はいくらでも挽回できます。

そして同期がトップクラスの成績で焦ってらっしゃいますが、この業界は近隣大学 地域中核病院での処方もかなり左右されます。

そして代々会社と関係が強い施設を持っていると自然に売れます。

よって「たまたま売れた」という状況もありますので、同期が「売れたのか?」それとも「売ったのか?」をよく見極めてください。

本当に実力がある方は担当地区が変わろうとも、売る品目が変わろうとも、会社の歴史がないところを担当しようとも、売り続ける事ができます。

同期うんぬんではなくそういった「プロのMR」を目指してください。

次にですが、

申し訳ないですが質問の意味がわかりません。

ご指導よろしくお願いしますと言われても何に対しての指導なのか、文章から読み取ることができません。

これでは有川先生どころか誰でも困ってしまいます。

よく私も社内で「どうやったらそんなに売れるんですか?」と聞かれることがありますが、質問が抽象的すぎて答えも抽象的になってしまいます。

こういった場合の私の回答は「会社の方針を愚直にやっただけです」ですが、相談者のまほさんが求めているのはこうではないですよね?

「得意先に会うのが怖い」とありますがどういった条件下ですか?

  1. 自分の知識がないから?
  2. 医師が忙しくて話しかけるタイミングがわからないから?
  3. 医師が威圧的な態度だから?
  4. お宅の薬は良く処方しているよと言っているのに実際は全然処方されていないから?

色々ありますがそれぞれアドバイスは異なります。

この文章の情報だけで、私から明確なアドバイスが出来るとしたら、まず自分の話法、行動など出来なくなっている原因をしっかり分析して、それに対して具体的な質問を先輩方に投げかける事が第一です。

たとえば、、、

「今回◯◯という薬を紹介する際に◯◯という投げかけをしたら△△の質問を受けて自分で調べて見ましたが明確な回答が見つかりません。◯◯先輩だったらどう回答されますか?」

と言った感じです。

でも安心して下さい。

99%のMRはこれが出来ていませんし、私自身もそうでしたから。

4年目でこれが出来れば直ぐに実力はつきます。

頑張って下さい。

アリさん
花鳥風月先生。

率直に丁寧な分かりやすい回答いただき、ありがとうございます。

自分の会社の部下でもなければ、メリットも何も無いのに、明快なアドバイスを心から感謝いたします。

本当に、ありがとうございました。

私もほぼ同意見ですので、補足することはほとんどありませんが、少しだけ私も回答させて頂きたいと思います。

これは、MRだけではなく、すべての営業にあてはまることですが、焦る気持ちは痛いほどわかりますが、本当に結果を出したければ、自分の日々の行動に集中することです。

営業にとって焦りというものは、「百害あって一利なし」であり、何一つ良いことはありません。

では、何に集中するべきかというと、「方法論」と「結果」と「改善策」に集中することです。

これは、花鳥風月先生もおっしゃっていますが、悩んでいる営業の方々の大半は、「漠然」と営業をして、出た結果を「漠然」と見て、「漠然」と悩んでいます。

つまり、すべてが

「漠然」
「ただ何となく」

なのです。

ではなぜ、これほど漠然としているのか?

それは、営業(MR)の大半が「お願い営業」になっているからです。

営業(MR)の最大の問題点

「訪問回数を増やして、お願いを続ければ、おのずと結果は出る」

このように会社から指示されている全国の営業(MR)は多いようです。

確かに、製薬は、新薬や明確な差別化のある薬剤でない限り、どのメーカーであっても大体同じような内容・価格になると思います。

とくにジェネリックなどであれば、いくつものメーカーから安い類似品が出ているわけですから、そのメーカーである必要もない。

そうなると、メーカーとして行き着く所は「お願いしかない」となるのは、ある意味理解できます。

しかし、「会社が、接触回数を増やし、お願い営業をしろ」と言ったからと、「ただ、言われたことだけをしている」というのは、現場の営業(MR)としては、どうでしょうか。

そもそも、会社が指示してくることは、あくまでも「新人レベルの営業」でも出来る最低限のことであり、営業個人としての創意工夫の余地はたくさんあるはずです。

例えば、あなたは、今、担当している病院やクリニックで、「医者」対「営業(MR)」という関係性だけではなく「人としての関係性の構築」を構築出来ているでしょうか?

表現を変えれば、

「先生や薬剤師が困ったとき、あなたの名前が思い浮かぶような関係性の構築が出来ているか?」

ということ。

もし「出来てない」というのであれば、これからは

「先生や薬剤師に感謝されること」

を目標として動く必要があります。

あ、だからといって、媚びたりヘコヘコ頭を下げるのではありませんよ?(笑)

そんなことをしても、感謝はされません。

そうではなく、あなた自身が営業(MR)として、さらには人として、どこまで「気が利くか」「配慮出来るか」という「思いやりの世界」の話です。

実は、ここに「MR営業の極意」があります。

人は、自分を大切にしてくれる人を好きになります。

それは、医者でも薬剤師でも一緒です。

ただし、間違えないでくださいね。

「大切にしてくれる人」であって「媚びへつらう人」ではありません。

MRとして特化できる最後の手段

実は、先ほどアドバイスをくれた「花鳥風月先生」も、最初のころはお願い営業をしている普通のMRでした。

でも、本心は「お願い営業なんてしたくない!」という思いがあり、最塾の塾生になり、電話相談で、私に叱咤激励されながら、日々、懸命に学び実践し続け、今ではトップクラスのMRになりました。

その彼が最塾の塾生として重点的に学んできたのが、この「人間性と人生観を活かした営業」であり、どこまで「気が利くか」「配慮出来るか」という「思いやりの世界」の話なのです。

商品の差別化も価格の差もほとんどなく、さらには接待やゴルフなども禁止されている特殊な営業の世界で、唯一、特化できる最後の手段は「営業自身」です。

つまり、あなた自身が、先生や薬剤師にとってどれほど「人間的に魅力的な存在」になるかが勝負であり、それこそが「営業(MR)のコツ」でもあるのです。

私が最塾の塾生さんたちに教えている「営業の本質」の中のひとつに「営業の原理原則」という「売れる営業のための思考法」があります。

その中の、第二原則として「魅力の原則」というものがあり、これを一言で言えば、

「魅力というものは、与えることで生まれて、奪うことで消える」

というものです。

この原則を見れば分かると思いますが、お願いして契約をもらう「お願い営業」という手法は、言ってしまえば、

ただ何回もお願いを続けることによって「仕方ない、君のところを使ってあげるよ」と根負けさせることを目的とした営業手法です。

これは、ある意味「相手から奪う行為」にあたります。

ゆえに、この手法では「会社の魅力」をはじめ「営業自身の魅力自体」も失われてしまい、その結果、営業本人の自尊心や存在意義も失われ、精神が相当に疲弊することになるのです。

おそらく、相談者のあなたも、そのような状態であるがゆえ、どうしていいかわからず、結果、お客と会うのが怖くなっているのだと思います。

でもね、本当の営業(MR)は、そういうものではありません。

MRとしての存在意義

いいですか?

あなたが日々、懸命に頑張っているMRという営業の仕事は、

素早く学術知識やガイドライン、新薬などの情報提供することで、先生や薬剤師を後方からサポート支援する「医療界にとって必要不可欠な存在」であり、

あなた方、MRのおかげで、苦しみから解放されたり、やわらいだり、完治したりする「患者さん」が、今日も「たくさんいる」のです。

そういう意味で、あなたのMRという仕事は「命の仕事」とも言える「素晴らしい仕事」なのです。

あなたは、その「MRとしての存在意義」をしっかりと自覚し、決して忘れてはなりません。

今現在は、辛く苦しい状況かもしれませんが、視点を少し変えれば、まだまだ、やれることはたくさんあるはずです。

いや、大丈夫!

必ずあります。

周囲を見て落ち込んだり、不安になるのではなく、MRとしてのプロのプライドを持ち、自分自身を見て、人として、MRとして、より「魅力的な存在」になってください。

応援しています。

頑張ってくださいね。

このブログを書いている人
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有川 高史
最塾・主宰。2005年3月より「現場で泥水を飲むような思いで苦しみながら戦っている現場営業」のための「最強営業実践塾(最塾)」をスタートさせる。年現在、最強営業実践塾で学んだ累計会員数は、全国で5600名を超え現在も様々な業種の営業セールスの人が共に切磋琢磨しながら日々学んでいる。・・・続きを読む→

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